業界・企業に特化し、誰よりもリアルで最新の情報を持つトップエージェント。 エージェントファインダーで紹介する各転職エージェントは、採用決定率を高めるためにどのような工夫を凝らしているのか。 エージェントファインダー代表取締役・粕谷暢司が、特定の業界や企業への高い内定率、リピート率を誇る転職エージェントにその秘訣を伺いました。
1973年東京都生まれ。大学卒業後、国内大手アパレル企業にてユニフォームの法人営業を経験後、リクルートグループにて人材派遣の企画営業を行う。
その後、国内系ヘッドハンティングファームにて、主に消費財、小売流通、アパレル、FMCG領域を担当し、成長ベンチャーから大手グローバル企業まで顧客のニーズに合わせた、人材紹介、ヘッドハンティングの実行を行う。
また企業内に常駐する形態にて、採用企画、業務設計、人材紹介会社の取りまとめ、面接代行などの採用支援も長年担当。
グローバルアパレル企業の採用支援業務においては、次世代幹部候補からデザイナー、パタンナー、生産管理、マーチャンダイザーといった専門職、各種経営幹部まで、職種、ポジションを問わず全社的な支援を実施している。
2017年、株式会社グッドコーチを設立。顧客企業の経営層とのリレーションを活かし、顕在求人のみならず経営層へのダイレクトな人材提案により、潜在求人ニーズへのアプローチを得意とする。
粕谷:
中村さん:
ファーストリテイリングで年間10名以上の入社実績があります。
アパレル業界の中でもファーストリテイリングの選考難易度は圧倒的に高く、国内トップクラスの実績を持つ方のみ入れる狭き門です。
その中で、私が紹介している職種は幅広く、デザイナー、パタンナー、マーチャンダイザー、クリエイティブディレクター、生産管理、マーケティングなど。
経験・スキル・スペックの高さに加え、ファーストリテイリングにマッチしたマインド面でも、評価をいただいています。
前職の人材紹介会社が、ファーストリテイリングの創業期から人事・採用面でサポートしている会社でした。
私はその前に大手アパレルに勤務していたこともあり、「アパレル系専門職に詳しいだろう」とユニクロを担当することに。外部人事として名刺を作っていただき、ユニクロの採用グループの一員としてユニクロ社内に席を置いて、15年ほど動いていました。
社内に採用ニーズが出るとまず私に相談が来て、私が中心になって人材要件の整理や、選考プロセスの決定を進めていた。役員の方とクロージングの場に同席することもたくさんありました。
この経験から、ファーストリテイリングの組織カルチャーや仕事内容、活躍する人材の特徴など企業理解が深まっていきました。
そうですね。GUの立ち上げの際も、役員2人と私の3人で採用戦略を考えていました。
「国内のトップデザイナーを採用したい」という方針を打ち出す経営陣に対して、「それなら、雇用形態や働き方をもっと柔軟にしましょう」と制度自体を変えるよう伝えたこともあります。
こうした実績から、経営者視点で人材を見ている、という信頼を得られたのだと思います。
これまで転職サポートしてきた方からの紹介、リピートなどのほか、ほかの転職エージェントとのアライアンス契約の中でご紹介いただくケースもあります。
ユニクロやGU、ファーストリテイリングのほかに、ZOZOTOWN、ユナイテッドアローズ、トゥモローランド、良品計画、ベイクルーズ、成城石井など小売流通、アパレルで実績があります。
入社までサポートした方が、さらなるキャリアアップで他の企業に転職すると、またそこで紹介が広がる。
そうして、企業とも候補者の方とも人脈ができていきます。
粕谷:
各分野で、国内最先端の知識、経験が求められます。
事業開発やファイナンス系職種では、外資コンサルファーム出身者、店舗の出店開発なら大手不動産会社やデベロッパー出身者です。
アパレル職種では、トップアパレルメーカーの事業部長や、ブランドのデザイン責任者、クリエイティブのトップなどの入社を決めています。
まず挙げられるのは、服づくりへの真摯な姿勢でしょう。
ファーストリテイリングでは、1年半前から服の企画を立てて練り上げ、素材づくりから完成まで1年かけます。
設備投資や人材育成を含め、手を抜かずに本質を追求する技術力の高さは、国内外のアパレルメーカーの中でトップレベルです。
海外のファストファッションブランドは一時期、一世を風靡しましたが、原点回帰して「しっかりとものづくりに向き合いたい」という業界関係者が多いのだと思います。
本気で「日本発グローバル」を目指し、実績を重ねている点も魅力でしょう。
給与水準は、アパレル業界の中では圧倒的に高いです。
30代前半でもリーダーになる方がいて、年収は900~1200万円程度。部長になると1300~3000万円です。
ファーストリテイリングの階級は少なく、メンバー、リーダー、部長、役員、社長とシンプルですが、各階級の中のレイヤーが様々あります。
社内では、30年前からあらゆる差別を撤廃しています。
人種、性別、年齢、在籍年数は一切関係なく、直近1年~半年でどれだけ実績を出したかが評価される、完全実力主義です。
過去の成功がどれだけ輝かしくても、貢献度が高かったとしても、直近で成果が出ていなければ評価されない。
しかも、求められる成長スピードが非常にはやいので、ストレッチした目標に向けて向上心がある方でないと、厳しいと思います。
粕谷:
私との面談で最初に聞くのは、なぜ転職が必要なのか、なぜファーストリテイリングなのか、入社後に何を成し遂げたいのかの3点。
一貫性があるかが大事なので、面接対策でどう話すべきかも併せて伝えています。
タイプとしては、「他者をリスペクトして協業できる」「今の自分から成長する意欲がある」点が大切です。
完全実力主義というと、協業と相反するようにとらえる方がいますがそうではありません。
柳井社長はいつも「100mを世界記録で走れる人はいらない。みんなでバトンをつないで世界記録を目指せる人がほしい」と言っています。
その姿勢がある人、あるいはこれから変わる素地がある人かどうかを、候補者の方とじっくり話しながら見ています。
大事にしているのは、いい点も悪い点も、知っている情報はすべてオープンに伝えること。
常にストレッチした目標を追うのは、合わない方にとっては辛いので、そこはしっかりとお話します。
また、「ずっと募集が出ているのですが、離職率が高いということですか」と聞かれたら、「採用基準が高くて通過率が低いので、ポジションが空いたままなのです」など、実情と選考通過の厳しさもお伝えします。
キャリアアドバイザーとして、なぜ転職をしたいのか、これからの人生に何を求めているのかをしっかりと聞くことに尽きます。
転職活動は、本人が自分で考え、納得して転職先を選択することが何よりも大事です。
納得感を高める上で、入社後にどんな仕事をどんな環境でやるのかを詳細に伝えられるのが、企業理解の深い自分の強みだと思っています。
選考基準の高さをよく理解した上で、転職市場を知っているからこその意見はきちんと伝えています。
ファーストリテイリングでは、絶対評価で基準をクリアしないと採用しないケースが多いのですが、そうは言っても…という場合もある。
不採用を主張する人事担当者に対して、「でも、人がいないとこのプロジェクトは進まないですよね。国内マーケットで、この方以上の候補者はいません。だから採用しましょう」と背中を押すこともあります。
国内外のアパレル人材状況を知っていて、ファーストリテイリングに合う人を知っている。
そして、今どういう人を採用すれば事業競争力につながるか、真剣に考えているから提言できるし、受け入れていただけるのだと思っています。
真剣に自分のキャリアを考え、好奇心と向上心がある方にとって、ファーストリテイリングは刺激的な環境です。
今は小さな会社にいたり、ニッチな職種についていても、「週末の時間を使ってパタンナーとして、この分野を勉強していました」とか「夜間の専門学校で、この素材の研究をしていました」など、目標意識の高い方は大歓迎。
新しいことに果敢に取り組んでいる方には「一緒に成長していこう」と受け入れる風土があります。
ファーストリテイリングのことをもっと知りたい方、話を聞いてほしいという方もぜひお気軽にご相談いただければと思います。