業界・企業に特化し、誰よりもリアルで最新の情報を持つトップエージェント。 エージェントファインダーで紹介する各転職エージェントは、採用決定率を高めるためにどのような工夫を凝らしているのか。 エージェントファインダー代表取締役・粕谷暢司が、特定の業界や企業への高い内定率、リピート率を誇る転職エージェントにその秘訣を伺いました。
野尻 剛二郎
タイグロンパートナーズ株式会社
代表取締役社長 マネージングディレクター
慶應義塾大学経済学部を卒業後、日興證券ロンドン支店、リーマン・ブラザーズ証券、モルガン・スタンレー証券にて内外の機関投資家向け日本株式営業および営業のヘッドポジションを担当。
その後、南カリフォルニア大学マーシャルスクールにてMBA取得。
外資系サーチファームのシニアコンサルタントとしてエグゼクティブ・サーチのキャリアをスタートさせる。2008年にタイグロンパートナーズ株式会社を創業。
業界知識やセールス経験を生かそうと、人材ビジネスを創業
粕谷:
2008年に金融業界に特化した転職エージェントを創業されています。立ち上げに至った経緯をご経歴と合わせて教えてください。
野尻さん:
大学卒業後、30代まで日興證券ロンドン支店、リーマン・ブラザーズ証券、モルガン・スタンレー証券でキャリアを積みました。モルガン・スタンレーでは日本株のセールスとして36歳までプレーヤーをしており、その後は営業のヘッドポジションに就いていました。40歳のときに新しいことがやりたくなってMBA取得のために渡米。42歳からヘッドハンティング領域にキャリアチェンジしました。
人材ビジネスを選んだのはなぜだったのでしょう。
金融業界に特化した人材ビジネスであれば、業界知識やセールスのスキル、人脈を生かせますし、転職マーケットはこれから伸びるだろうと思ったんです。 そこでまずは、世界5大ヘッドハンティング会社の一つである、エグゼクティブ・サーチ・ファームに入り、サーチについてゼロから学ばせてもらいました。その後、英国系の金融業界特化のヘッドハンティングファームから「東京オフィスを立ち上げたい」とお誘いをいただき、代表として立ち上げることになりました。2007年のことでした。
リーマンショック直前ですね。
そうです。金融業界出身の人材が集まり、組織として形になりつつあったのですが、リーマンショックの発生で親会社がデフォルト(債務不履行)に。そこで私が株を買い取り、2008年に創業しました。
そんな経緯だったのですね。リーマンショック後、事業を軌道に乗せるのは大変だったのでは…?
確かに情勢としては厳しかったのですが、当社は金融業界の幅広い領域を網羅していたので、何かしら案件が動いていました。グローバルマーケット(株式や債券部門)、投資銀行(ファイナンスやM&A)、アセットマネジメント、プライベートエクイティなど、10名前後の業界出身メンバーが各領域のスペシャリストとして動く体制は、創業以来続いています。
業界出身のスペシャリスト同士、情報共有も活発に行っている
粕谷:
業界出身者の多さは、ほかの転職エージェントと比較しても特徴的ですよね。貴社の強みや特徴はどんなところにあるとお考えですか。
野尻さん:
当社の特徴は大きく2つあります。 一つは、リサーチ部門があることです。海外のサーチファームにいた経験から、リサーチャーに投資するのが当たり前だと思っていました。サーチ専任のリサーチャーと、候補者及び企業に接点を持つコンサルタントの仕事が分業されていることで、候補者や企業に向き合う時間をきちんととることができます。 もう一つが、各コンサルタントが得意領域を持ちながら、チームとして動く組織風土があるところです。当社では、アセットマネジメント、投資銀行、プライベートエクイティ、グローバルマーケットなど担当すみ分けがありますが、それぞれが個人商店として動いているのではなく、候補者や企業情報は常にチームで共有します。ニーズに応じて、領域に強いコンサルタントにバトンタッチしたり、コラボレーションして対応したりすることも多い。社内で競合するなどトラブルがほとんどなく組織が動いているのは、周りをリスペクトできる人材が揃っているからだと思います。
そのカルチャー醸成のために工夫したことは何ですか。
採用の段階で、謙虚でかつ周りを思いやれるチームワークプレイヤーかどうかを見極めてきました。そのスクリーニングがうまくいっているのだと思います。 現在、コンサルタントは14名いますが、金融業界では領域を広げ安定的な実績を残せています。今後は、そのノウハウを生かしながら、コンサルティングファーム、テクノロジー、製造業など領域を広げ、各業界のエグゼクティブ部門でトップを目指したい。その一環として2020年にヘルスケアチームを立ち上げ、新たな領域へと動き始めています。
そうなんですね。業界出身メンバーを新たに採用し、業界特化軸を広げていくということでしょうか。
そうです。コンサルタントが担当業界の出身者であり、業界特性や仕事内容の理解があること、商品知識やスキルの理解があること、人脈があることは重要な要素です。強みを持った各コンサルタントが協調しながら成果を出していくという、組織のスタンスは変えずにいきたいですね。
大手外資証券の「Preferred Agent」に選出されているほか、金融業界の幅広い案件を扱う
粕谷:
候補者から見たときに、貴社に転職サポートをお願いするメリットはどこにありますか。
野尻さん:
金融業界の幅広い案件を持っていることだと思います。 外資系証券会社、日系の大手証券会社とは、ほぼ全社とコンタクトをとっています。外資証券は、取引のある転職エージェント数をかなり絞っており、インハウスリクルーティングの流れも加速しています。毎年、「Preferred Agent」を選出している外資証券も多いのですが、当社は大手証券からほぼ選ばれています。実績をベースに判断されるので、新規参入が難しく、長く業界特化でやってきた当社にはアドバンテージがあります。 証券会社で働いている方のほかにも、株式や債券を扱ってきた方、セールス&マーケティング経験者、プライベートエクイティのリサーチアナリスト、アセットマネジメント業界経験者など、さまざまなポジションの方に幅広くキャリアをご提案できると思います。
最後に、転職エージェント選びに悩む候補者に向けてメッセージをお願いします。
志望業界が決まっているのなら、その業界に特化した転職エージェントに話を聞けた方がいいのではないでしょうか。 当社では、全コンサルタントが業界出身者なので、業界や仕事について知らないことがありません。特殊な専門用語やプロダクト理解、組織の違い、チームの雰囲気までわかっており、入社後にどんな働き方になるのか、候補者目線で話すことができます。 また、各コンサルタントのアドバイスは、その人だけの意見ではなく、当社内で情報共有した上で出てくるもの。コラボするのが当社のカルチャーなので、会社全体で出す情報を候補者に伝えられる強みがあります。 すぐに転職を考えている方だけではなく、金融業界の転職マーケット事情を知りたい、といったニーズであっても、ぜひお気軽にご相談いただけるとうれしいです。