2021.05.14

投資銀行、不動産ファンド、プライベート・エクイティ・ファンドに特化。職場環境やチーム編成まで詳細に伝え、入社後の活躍につなげる

業界・企業に特化し、誰よりもリアルで最新の情報を持つトップエージェント。 エージェントファインダーで紹介する各転職エージェントは、採用決定率を高めるためにどのような工夫を凝らしているのか。 エージェントファインダー代表取締役・粕谷暢司が、特定の業界や企業への高い内定率、リピート率を誇る転職エージェントにその秘訣を伺いました。

信藤 啓吾
タイグロンパートナーズ株式会社
マネージングディレクター

麗澤大学外国語学部卒業、米国セイラム州立大学カウンセリング心理学修了。
タイグロンパートナーズ株式会社の前身となる赤米フィナンシャルマーケッツジャパン入社前は約5年間に渡り、ロバート・ウォルターズにて金融マーケット(投資銀行、不動産、プライベート・エクイティ)を専門としたリクルーティングに従事。
産業カウンセラー。英語堪能。

投資銀行、不動産、PEのほか、事業会社のM&A部門やスタートアップのCFOまで幅広く手掛ける

粕谷:

金融業界に特化した転職エージェントとしてご活躍されています。信藤さんがとくに得意とする領域について教えてください。

信藤さん:

投資銀行、不動産ファンド、プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)の3つを大きな柱としています。そこから派生し、一般事業会社のM&A担当部門や戦略企画、ビジネス開発部署や、IPOを目指すスタートアップ、ベンチャー企業のCFOポジションへの転職もサポートしています。
投資をアドバイスする側、投資される側、双方のケースを見ていらっしゃるんですね。これらの業界に特化するようになった経緯についてもお聞かせください。
人材ビジネスに携わったのは2003年1月からです。 それまでは心理カウンセラーをやっており、珍しい転職ケースだったので、活動は簡単ではありませんでした。海外での経験と語学力を買ってもらい、入ったのがロバート・ウォルターズでした。当時は社員が20人ほどしかいない立ち上げフェーズで、「不動産ファンドでの採用ニーズが伸びているので担当してほしい」と配属されたのが今のキャリアのスタートです。必死に行動して業績を上げ、入社1年目で「ルーキー・オブ・ザ・イヤー」、3年目にはトップコンサルタントになることができました。
業績トップで、そのまま活躍する選択肢もあったと思います。現在のタイグロンパートナーズ株式会社にジョインしたのはなぜだったのでしょう。
ロバート・ウォルターズは、バックオフィスのポジションに強いエージェントでした。でも、私としては、やるならフロントもミドルもバックオフィスも見たかった。 また、前職では誰も開拓していなかった投資銀行へのアプローチも始めており、金融業界の情報や知識を豊富につけられる環境で挑戦したかったんです。当社は、代表も金融機関出身ですし、投資銀行出身のコンサルタントもいて、学びが多いだろうと思いました。
未開拓の投資銀行にアプローチし、実績を積んでいくのは大変だったのでは…? どのように開拓していったのでしょうか。
人事担当者だけでなく、投資銀行現場のバンカーにアプローチをし、継続的に人脈を広げていきました。すると、「自分は転職しないけれど、弊社の採用を手伝ってほしい」「自分の後輩、友人を紹介します」と依頼がくるように。私の紹介で入った方一人ひとりから、社内の様子を教えていただき、少しずつリアルな情報を増やしていきました。

投資銀行、会計士、商社のM&A経験者など候補者のバックグラウンドはさまざま

粕谷:

地道に時間をかけて開拓していったのですね。 現在は、どんなポジションに実績があるのでしょう。候補者の経歴と合わせて教えてください。

信藤さん:

資銀行への転職では、外資の投資銀行出身者、日系の証券会社で投資銀行部門に入る方、会計士の方などさまざまなバックグラウンドがあります。日系の銀行で法人営業をやっているけれど投資銀行に行きたい、M&A領域に挑戦したいという若手の方も多いですね。金融業界出身であれば、2~3年目の若手にも転職可能性は十分あります。また、商社のM&A部門で経験があり英語力もあるという若手の方は、異業界からの転職であってもニーズがあります。 PEファンドは狭き門で、投資銀行か戦略コンサルにいた方しか基本は採用されません。大手以外であれば、銀行のM&A部門の方や会計士を採用するケースもありますが、なかなか難しいのが現状です。 スタートアップやベンチャーのCFOは、英語力がありクロスボーダー案件を手掛けた経験が有利に働く場合が多く、外資系投資銀行出身者が圧倒的に多いです。一度事業会社を経験していると歓迎されるところもあります。 事業会社の業界はさまざまです。通信キャリア、損保、メーカーなど大手企業が多く、投資銀行出身者がM&Aや戦略部門のトップをやっているケースが大半です。その人脈から、私に声をかけていただき紹介につながっていくので、業界のしばりはありません。
なるほど。実績数ではどれくらいなのでしょう。
毎月10~20名の候補者にお会いし、入社に至るのは年間、投資銀行やPEでは10数名ほどでしょうか。不動産ファンド、事業会社も含めると年間20名程になります。 米系投資銀行に関しては、フロントのアナリストからマネージングディレクター(MD)、バックオフィス系まで幅広いポジションを見ています。ただ、各社インハウスのリクルーティングチームを持っていたり、社員からの紹介採用に力を入れていたりするので、エージェントに回ってくる案件は減少傾向にあります。リクルーティングチームは社員が担っていたりRPO(採用アウトソーシング)を入れていたりさまざまで、内製化の流れは5~6年前から続いています。バックオフィスは、いなければ困る職種が多く、比較的ニーズはいただいています。 欧州系投資銀行、ブティックM&A会社、日系投資銀行の方が、外部の転職エージェントを活用するケースが多く、実績数としてはこちらの方が比率が高くなっています。

誰に対しても、チームの人間関係や案件特性など最新の情報をオープンに伝えている

粕谷:

候補者の方とのファーストコンタクトはどう取っていらっしゃいますか。

信藤さん:

キャリアサイト、SNS、紹介経由です。電話、オンライン、対面など、候補者の方の希望に応じて面談を設定します。毎月お会いする10~20名は、すぐに転職したい方から長期的なキャリアプランのために相談したいという方まで、意向はそれぞれ異なります。新卒入社の方で「1年後に転職を考えているので、今から話を聞きたい。情報を集めたい」というケースも増えています。 私がサポートできるかできないかに関係なく、フラットに話を聞く場を積極的に設けます。数カ月から半年、1年を目途に定期的にコミュニケーションを取っている方は、コンスタントに30名ほどいますね。
面接対策など採用確度を上げるためにされている具体的なサポートはありますか。
業界に特化して長いので、各企業がどんなスキルや経験、人柄の候補者を求め、選考で何を聞きたいのか理解できています。面接では、これまで候補者の方が受けてきた質問内容を共有し、面接担当者ごとの質問特性や性格についてもお伝えします。 若手には、能力診断テストなどで地頭のよさを見るケースもあり準備が必要ですし、「今日の取引価格についてどうお考えですか」といった質問は、業務特性上よく聞かれます。事前にどの情報に触れておくべきかを伝え、「本来実力はあるのに準備不足によって不採用になった」という事態は避けるようサポートしています。
なるほど。入社後の活躍という点で、候補者、企業両方にとってWin-Winですね。
そうです。私は、直接サポートしていない方からの相談でも、「あなたがオファーされているチームはこんな特性があります。ほかのチームはこの部分が異なります」と、私が知っている情報はなるべくオープンに提供します。中長期的に信頼関係を築きたいと思っているので、目の前の結論を急がせるようなことはせず、「提供できる客観的情報は共有しますので、決めてください」というスタンスです。これから転職を考えている候補者の方も、興味のある業界や企業を絞れたら、その情報を詳しく提供してくれるエージェントに出会ってほしいですね。
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