業界・企業に特化し、誰よりもリアルで最新の情報を持つトップエージェント。エージェントファインダーで紹介する各転職エージェントは、採用決定率を高めるためにどのような工夫を凝らしているのか。エージェントファインダー代表取締役・粕谷暢司が、特定の業界や企業への高い内定率、リピート率を誇る転職エージェントにその秘訣を伺いました。
筧隆志
株式会社メイテックネクスト コンサルタント
国立高専で電気工学を専攻し、11年間エンジニアとして
半導体製造装置の電気回路設計を経験。
その後、中国でエンジニアのトレーナーに従事。
就職支援も行い、これまでに4000名に上る転職者と面談をし、300名以上の転職を支援。ソニーへのサポート実績も多数。
元半導体エンジニアだからこそできる技術理解という強み
粕谷:
筧さんのプロフィールと実績をあげている業界や企業についてお聞かせください。
筧さん:
私は高専を卒業後、今の会社の親会社に新卒で入社し、20代は電気回路のエンジニア職に10年携わりました。30代は中国でエンジニアのトレーナーや職業紹介・就職支援に携わりました。その後リーマンショックの影響で最終的には拠点をたたんで帰ってきました。そこでの経験を活かし、現在はキャリアアドバイザーに従事しています。
どういった業界や企業を担当されているのでしょうか。
私はキャリアアドバイザーなので求職者側の担当をしています。中でも電気とソフトのエンジニアを対象に支援させていただいています。
ターゲットとなる転職者の年齢層や年収レンジはどれくらいでしょうか?
基本的には20代の若手から40代前半までを主なターゲットとしています。40代後半以上の方はハイクラス求人ということで別の担当がやっており、私自身は若手ポテンシャルの20代から30代の方を支援しています。
エージェントファインダーでは決定実績の高いキャリアコンサルタントだけに参画いただいています。筧さんの強みやノウハウについて聞かせてください。
私自身がエンジニアを経験しているため求人の細かい要件まで把握し、適切な方に求人を紹介できるというのが他のコンサルタントの方との大きな違いだと思います。 例えば営業職の募集ではこれくらいのレベルの大学出身で~、これくらいの年齢で~と簡単なスペック条件で集まると思いますが、エンジニアの場合はそうはいきません。 求人のニーズがとにかく細かい。開発という言葉ひとつとっても、発明に近いような基礎研究も開発ですし、製品を外に出して二次輸送しますというフェーズも開発なのです。実際にエンジニアを経験したことがないと求人の要件を精緻に把握することは難しいと思います。
そうなんですね。最初の初回面談で工夫している点や転職者の方と信頼関係を構築する上で大切にしていることはありますか?
エンジニア職の転職専門なので1時間の面談で違いを感じていただけるよう技術を理解した上で求人提案をしています。 転職者が一番欲しいのはご自身にマッチした求人です。ですからあらかじめ自分の頭のなかでこの方ならこの求人、という状態を作っておき、お話を伺いながら提示するようにしています。 求人のバリエーションを持っておくと、ご意向を伺いながらアリ・ナシを振り分けできます。キャリアやご要望を深堀りし、再精査していくようにしています。
エンジニア面接の落とし穴、謙遜=自信不足を乗り越える面接サポート
粕谷:
面接対策は具体的にどのようにされていますか?
筧さん:
面接で何を話すべきかを一緒に考えています。 エンジニアの方々というのは、素晴らしいキャリアをお持ちでもなかなか自分をPRしたり、自分を買ってもらうということができない方が多いです。でも面接の場って謙遜してはいけないですよね、自信不足と思われますので。 例えばお客さんにこれ実践できますか?と言われたとき、出来る時は出来ると言いますが、出来ないかもしれない時は、ちょっと持ち帰らせてくださいと濁すんです。そういう発言はもう一切排除しましょう、と。どのような説明をすれば向こうが高く評価してくれるか、一緒に考えるようにしています。
エンジニアの方も、自分ではなかなか気づかないポイントですよね。
そうですね。仕方ない部分もあると思います。エンジニア職でもお客様と話をするシーンは多々あると思いますが、買ってくれるかどうかの最後の取引は営業の仕事ですからね。ですが例えば会社の中で技術の発表をする際、出来るかどうかわからないという濁し方はしませんよね。そういった時と同じように面接に臨みましょうと、とお話をしています。
内定承諾時に大切なのはその内定が価値観にマッチしているか否か
粕谷:
内定が出てから承諾までがキャリアアドバイザーの役割ですが、内定承諾時の工夫やコミュニケーション時に気を付けていることはありますか?
筧さん:
その方が何を重要視した転職だったか、を意識します。その内定がご自身の価値観にミートしているか否か。もしくはミートしているかどうかの事実が詰まっているかどうか。そこを徹底した上で意思決定いただくことを心がけていますね。
内定後、年収等交渉をしたり良い条件を引き出すために筧さんが何かされることはありますか?
あります。条件が出てから、というよりはその前にアプローチします。転職者の方に求人企業をお選びいただけるかどうかわからない時は、条件を束ねたところで評価して欲しいという点で、企業側にリクエストすることはあります。 ただ企業側に無理強いをすることはベストではないと思っています。そこも含めて面接での双方のすり合わせが大切だと考えています。 転職者の企業理解と、企業側の欲してるものがバチンとハマれば、本当にこの条件で大丈夫ですか?と言うことが出来ますよね。
転職サポートが良ければ自然と次につながる
粕谷:
入社してから転職者の方に連絡したりすることはありますか?
筧さん:
実際にどうですか?とこちらからお声がけすることはあまりありません。基本的には今回の転職サポート自体が非常に良いものであったならば、また誰かしら紹介していただけるので。 エンジニアの方で実際にお辞めになるときにどうやって転職したのか、という話はやはり出るようで。そういった話の流れからご紹介いただくケースが多く、ありがたいと思っています。
コロナ禍で採用のハードルは上がった
粕谷:
新型コロナウイルスの影響で、業界によっては求人が減ってきています。筧さんのご担当の業界や求人数に何か変化は出ていますか?
筧さん:
満遍なく減少していますね。どこかがなくなっているという状況ではないと思います。コロナの前までは潤沢に選べるような状況だったのが、もとに戻ったという感じです。 ただ、転職者の立場に立って検討する際、求人は100もいらないですよね。以前の状態で50の求人があったとして、選んだ後にあとに3つしかなくなりました、となるとさすがに選択肢が少なくなりましたねという話になりますが。求人は10や20あれば必要十分なんじゃないかなと私は思っています。ですからコロナ影響で提案できる求人はありません、ということはあまりないです。
企業側の採用ハードルがすごく上がったということもないのでしょうか。
それはあると思います。やはり人気の職種、企業、業界がありますので、そこに極端に集中するとなかなか通過をしない、ということはあります。
そうですよね。今後こういった状況が改善していく見込みについてはどうお考えですか?
例えばリーマンショックの時は転職のご支援自体難しくなりました。ですが今は落ち込んでいる業界もあれば伸びている業界もあります。少し前は自動車業界が好調でしたがコロナでダメになったかというと、そうでもありません。在宅ワークが広がることでサーバーやそこに使われるような半導体等の業界が盛り上がっています。 そうなると工場稼働率は上がり、さらにそこに対する設備投資が増えるので、恩恵を受ける設備メーカーやデバイスメーカーに新たな求人ニーズが出てきます。ですから、今はとても面白いことができるのではないでしょうか。
転職後の世界もイメージした企業選びをサポート
粕谷:
このタイミングでもできる面白いキャリアチェンジがある、ということですね。転職者にはどのような視点でアドバイスをされていますか?
筧さん:
求人の入り口と出口をイメージした上でアドバイスをしています。転職者の方がどうしてもこの企業に転職したい、という希望を持っていたとして、その企業ではないと技術成長ができないかというと、そんなことはありません。技術がわかることが私の強み、と最初にお話しましたが希望の会社ではなかったとしても、この仕事をすることによって、次に何が出来るようになるかまで提案しています。 ですから、入り口でこの求人はあなたのキャリアにこういった役割を担います、とご提示します。転職後、キャリアを積むと、次に〇〇さんご希望のPLやプロジェクトリード等が出来るようになりますよ、と。 そのためにこの会社を選ぶのはいかがでしょうか、と求人の入り口だけではなく出口も見据えたアドバイスをしています。
求人動向を読み取り、時として思わぬキャリアアップをサポートできるのもキャリアアドバイザーとしての喜び
筧さん:
この仕事をしていて楽しいと感じるのは、こんなキャリアの方がここに転職!?という、普通では考えもつかないキャリアップのサポートをする機会に恵まれることです。 例えば自動車の整備士をされていた方がソニーに決まったことがあるんです。 整備士から車のサプライヤ―へ転職し、そこで評価された方です。当時のソニーはまだ自動車には精通しておらず、今後必要なのではないかとご提案したところ、バチンとはまり、転職が実現しました。
粕谷:
素晴らしいですね。求人動向を読み取って、筧さんから打診した結果、実現した転職だったのですね。
はい、こういった転職をサポートできることもこの仕事の大きな楽しみの一つですね。
貴重なお話、ありがとうございました。