業界・企業に特化し、誰よりもリアルで最新の情報を持つトップヘッドハンター。エージェントファインダーで紹介する各ヘッドハンターは、採用決定率を高めるためにどのような工夫を凝らしているのか。エージェントファインダー代表取締役・粕谷暢司が、特定の業界や企業への高い内定率、リピート率を誇るヘッドハンターにその秘訣を伺いました。
三宅 貴史さん
sincereed株式会社
エージェント
新卒で東証一部上場のノンバンクに入社し法人/個人営業を経験。2018年に株式会社ジェイエイシーリクルートメントに入社。主に金融・Fintech領域のミドル・ハイクラス層の方の転職ご支援を担当。2023年10月にsincereed株式会社へ参画。現在は金融業界出身者を軸に、業界を横断したIT職種の転職支援を強みとする。
粕谷:
三宅さん:
新卒で不動産担保ローンを扱うノンバンクに入社し、営業を経験しました。有形商材ではなく自分の力で勝負できる無形商材の営業がしたいと思って選んだ会社で、厳しい環境で揉まれた良い20代を過ごさせてもらいました。
ただ、小さな会社だったので営業スキルが属人的で、「このまま外に出て通用するスキルを得られているのだろうか」と不安を覚えるように…。30代目前に転職活動をスタートし、転職エージェントに相談するうちに、この仕事自体が面白そうだと興味を引かれたんです。その思いのまま前職のJACリクルートメントに入社し、金融ディビジョンに配属されて以来、金融領域を強みにエージェントの仕事を続けています。2020年頃からは、IT職種の方のサポートに特化しています。
まず惹かれたのは、求職者と求人企業の両面型コンサルティングができるところでした。
前職は完全に企業担当制で、自分が担当する企業にフィットする候補者を探しに行くスタイルでした。私は金融機関担当でしたが、2020年代に入ると、業界を横断しての転職が当たり前になり、金融経験しかない方でもエネルギー業界やIT企業など、まったく畑の違う企業に転職できるケースが増えていきました。
求職者の方に「金融から飛び出したいんです」と言われることも多い中で、私一人ではお役に立てず、他の部門にパスするしかない。それがもどかしく、求職者側に寄り添い、その方の希望と経験に合う求人を業界の壁を越えてご紹介できたらいいのにと考えるようになりました。
sincereedは「大手企業に強い」という特徴があり、自分が培ってきた知識や経験を活かせると感じました。金融領域に力を入れていきたいというビジョンにも共感し、入社を決めました。
強みの一つは金融業界です。「金融機関へのご紹介」だけでなく、「金融畑で働いている人材のご支援」が得意領域。職種はIT全般で、アプリ、インフラ、データ、セキュリティと幅広くカバーしています。
ご支援するにあたり、金融業界の文化を肌で理解していることは大きいと思います。「石橋を叩いて渡る」ようなカルチャーは他業界から見ると堅く映るかもしれませんが、それは金融が世の中に与える影響力の裏返し。だからこそ、縛りをくぐり抜けて生み出されたプロダクトやサービスが一気に世の中を変える力を持ちます。そこが金融の面白さだと思っていますし、金融業界で頑張ってきた方が引き続き金融で活躍するのも、培った経験を活かして他業界に羽ばたくのも、どちらのお手伝いにもやりがいを感じています。
とはいえ、金融業界以外のIT職種の方のご支援も数多くしており、年齢層は20代から40代まで幅広いです。大手企業への紹介が中心のため40代半ばくらいまでの方が主な対象です。
金融業界以外の事例になりますが、SIerでシステム開発を一貫して担ってきた40代のPMの方が、大手飲料企業に転職されたケースがあります。その方は、依頼された内容に対して「本当はもっとこういうシステムにしたほうがいいのでは…」と思うことが多々あったそうですが、なかなか意見が通らないことにモヤモヤを抱えていました。言われた通りに作る側ではなく、自社のシステムを「より良くする」側に回りたいという思いが強く、ITの知見がそのまま活きる場を一緒に探させていただきました。
同じくSIerから大手カフェチェーン企業にご入社されたケースもあります。その方は、グループ会社から依頼されたシステムを納品した1年後に、その企業に出向した経験があり、「誰も自分が作ったシステムを使っていない」という現実を目の当たりにして大きなショックを受けていました。その経験から「実際の使い手と近いところで働きたい」「作ることが目的ではなく、使う人たちの満足をきちんと追求したい」と熱い思いを持っていらっしゃり、大手カフェチェーン企業の理念にとても合うのではないかと考えました。
同社は、どの部署の方にお会いしても「1杯のコーヒーのために」という思いを本気で語っていらっしゃいます。ITのシステムを作る社員も、現場のスタッフも、みんながその理念を大切にしている。この方が求めていた「ユーザーに寄り添ったものづくり」にぴったり合うと感じてご紹介したところ、選考もスムーズに進み、内定・入社に至りました。スキルマッチやキーワードのマッチングだけでは実現できない、人と人をつなぐ仕事ができたと感じた事例です。
大手コンサルファームで年収1,300万円だった35歳の方が、大手通信企業に300万円以上年収を下げて転職されたケースもあります。最大の決め手は、「フルリモートが基本でワークライフバランスが非常に良い」ところでした。小さなお子さんがいらっしゃる方で、今は一緒に過ごせる時間を最優先したいという思いから、年収を下げてでも転職する価値があると判断されたんです。
ご支援の際には、「残業時間が短い」「リモート可」だけではなく、配属予定の部署に小さいお子さんがいる社員がどのくらいいるか、週に何回は出社しているかなど、部署の方から直接伺った生の情報をお伝えしました。「年収はもう少し出たら嬉しかったけれど、一番叶えたいことが叶うから」と納得の上で入社を決められた事例でした。
表面的な条件だけで終わらせないマッチングは、常に意識しています。たとえば、「残業時間を減らしたい」というご希望があったとき、平均残業時間の短い会社に行けば幸せかというと、必ずしもそうではありません。深掘りしていくと、「自分に合っていない仕事をしていて、そこに忙しさが重なっているからしんどい」というのが本当の原因だったりします。
そこで面談では、自分にとって本当にフィットする仕事は何か、やりがいを感じられるのはどういう仕事かというところから一緒に考え直していきます。結果、残業時間はほぼ同じだったけれど、転職先ではものすごく満足されていて、今も活躍されている。そういった事例は少なくありません。
ご支援の進め方として、面談前に経歴を見てあらかじめ求人を用意しておき、面談後速やかにお送りするというスタイルもあると思います。でも私は、目の前の方に会って、声や表情、話し方も含めて感じ取ったものから「この人にはこの企業が合いそうだ」と考え、求人を探していきたいと思っています。
もちろん事前準備はしますし、日頃お会いしている企業のおすすめ求人もあります。ただ、お会いして直接伺えたその方ならではの深層的な部分に応えられる求人が何かを、一生懸命探すことを大事にしています。
社内のナレッジ共有の文化が活発で、各コンサルタントが訪問・説明会で得た情報をNotionで共有しています。欲しいときに欲しい情報が手に入る環境は、sincereedの強みの一つです。加えて、大手銀行のデジタル戦略統括部の部長の方と毎週ミーティングを行うなど、生の情報を継続的に仕入れる取り組みも欠かせません。
書類の添削も面接対策も、求職者の方が「もう大丈夫」と納得するまで何度でもやります。1回で十分な方もいれば、5回、10回と予約してくる方もいますが、ご自身の転職活動ですから、エージェントは好きに使い倒してくださいというスタンスです。
私が提供しているのは、「こう聞かれたらこう答えよう」という表面的なテクニックではなく、企業が面接で何を確認したいと思っているかという本質的な部分です。今はAIで面接練習する方もいらっしゃり、受け答えが上手な方が増えています。だからこそ、その人ならではの原体験を含めた転職理由や志望動機を語れるか、どんな面接でも通用する力を一緒に身につけていきましょう、というアプローチを大切にしています。
入社後のギャップを限りなくゼロにできるよう、できる限りのフォローをさせていただきます。候補者の方がまだ知りたい情報があれば、現場の方との面談をアレンジすることもあります。回答期日が迫っていても、少しでもスッキリした状態で結論を出せるよう全力で動きます。
また、最後の意思決定の際のご相談には最も力を入れています。複数社の内定からどの会社を選ぶべきか、現職と転職どちらを選べばいいか、といった難しい選択に迫られた際、無責任に一方を薦めるのではなく、本当に叶えたいことの言語化や、意思決定に必要な軸の整理をお手伝いさせていただきます。
おかげさまで、候補者の方から悔いのない決断ができたと仰っていただけたり、1年後に「楽しく働いていて、あのときの選択は間違えてなかったと伝えたかった」とご連絡をいただくこともあり、少しばかり誇りに思っています。
転職というと“もっと良い会社”に行くことだと思われがちですが、すべてにおいて今より良い会社なんてないと思っています。大事なのは、そのときのその方にとってベストな、あるいはベターな選択肢を見つけること。それは言い換えれば「適材適所の配置替え」です。
もし今、キャリアにもやもやを感じているなら、その言語化をぜひ一緒にやらせてください。どういう環境だったらもっとスッキリ、のびのびと、本来のパフォーマンスを120%発揮して働けるのか。そこを見つけるお手伝いが、私がもっとも楽しさとやりがいを感じている仕事です。転職するかどうかはあとから考えていけばいいと思っているので、まずは一度、お話させていただけたらうれしいです。