業界・企業に特化し、誰よりもリアルで最新の情報を持つトップエージェント。エージェントファインダーで紹介する各転職エージェントは、採用決定率を高めるためにどのような工夫を凝らしているのか。エージェントファインダー代表取締役・粕谷暢司が、特定の業界や企業への高い内定率、リピート率を誇る転職エージェントにその秘訣を伺いました。
中村有希
株式会社メイテックネクスト コンサルタント
東京理科大学を卒業後、食品メーカーで開発研究に従事。
その後、人材業界で化学の知識を活かした分野特化型の転職支援を展開。
丁寧で安心感のあるサポートが強み。
化学専攻・理系出身の強み
粕谷:
はじめに、中村さんのご経歴を聞かせてください。
中村さん:
東京理科大学の理学部で化学を専攻し、無機系の材料開発をする研究室で三年間研究をしていました。新卒で就活をした時から実はあまり開発には興味がなくて、人材に興味を持っていました。 ですが化学系の技術職は一度手放すと行けないとわかっていたため一度就職をしようと食品メーカーの研究に携わりました。しばらくそこで仕事をするなかで、やはり人にすごく興味がわいてしまったので、転職エージェントへ転職しました。
食品メーカーでの開発業務を経て、現在の人材業界に転職されたのですね。
そうです。人材は未経験だったので、仕事内容も業界の知識もなくやっていけるか当時は不安も大きかったです。ただ化学の分野であれば一通り理解できるのではないかと思えたことから、転職を決意しました。
そこから今現在も化学領域に特化したキャリアコンサルティングをされているのですね。
入社以来一貫して化学領域を担当しています。
人気企業へ多くの転職者を輩出する秘訣
粕谷:
私は文系なので化学系分野の企業があまり想像つきません。中村さんが得意とされている化学系の会社とはどういったところでしょうか。
中村さん:
実は化学系の人材はニーズが高く、トヨタやソニーなど幅広い業種の企業が募集しています。あとはライフサイエンス領域も一部担当することが多いです。
中でも中村さんが精通している会社や決定人数が多いのはどういった企業ですか?
満遍なくいろいろな会社に、というのが多いですが得意分野であれば前職がそうだったのでBtoC領域です。JTや素材メーカー、旭化成、村田製作所には私のサポートで多数の転職者が入社されています。
村田製作所で化学系の職種ってあるんですね。
あまり知られていませんが実はあるんですよ。
そういった人気企業に強い理由、中村さんにしかない強みはどういったところにあると思われますか?
やはり技術の細かいところまで理解できる点だと思います。あとは目の前の転職者の方の強みをつかんだうえで、その強みを展開できる業界や企業を考えたマッチングが出来る点。また入社後のキャリア展開と言いますか入社したあとにどういったキャリアを築いていけるのか、という視点で転職者の方の長期的なキャリアプランを考える踏み込んだ提案ができる点が強みだと思います。
JT・旭化成・村田製作所では圧倒的な書類選考率を誇る
粕谷:
エージェントファインダーに参画いただいているトップエージェントは企業とのコネクションが強いが故に選考回数そのものが少なくなったり、選考通過率が圧倒的に高かったりという特徴を持っています。Nさんも選考における特色をお持ちでしょうか。
中村さん:
選考回数に関しては何とも難しいところですが、これまでの実績ですと私を経由して受けていただいた方の90%以上が面接に進んでいます。 書類選考通過率が非常に高いのは特筆すべき点かもしれません。
それは圧倒的に高いですね。Nさんからの推薦となると求人企業からの信頼が厚い、という証ですね。 転職者との初回面談で工夫していることや意識されていることはありますか?
転職者とのファーストコンタクト(=初回面談)の前に、今どういった会社でどんなお仕事をされているのか、何故転職したいのかをしっかりイメージした上で臨むようにしています。面談後はその方にとってベストなキャリアが何なのかを本音ベースで考えながら、どうしたら実現できるかを考えてご提案することを意識しています。 また求人を薦める際はなぜその求人なのか、という点をしっかり説明し、転職者の方が高い納得感を持って意思決定できる情報提供を心掛けています。
細やかな面接対策で転職者の魅力を引き出し、希望に寄り添う
粕谷:
求人企業に推薦をしたあと、面接対策のようなことはされていますか?
中村さん:
基本的には初めての面接では必ず対策を行います。面接対策では求人企業やポジションに関する詳しい情報をインプットし、入社後にご自身が活躍するイメージがわくようにお話をしながらすり合わせていきます。
どれくらいの時間をかけて行うのでしょうか?
通常であれば一時間程度です。事前にこちらで準備した資料を活用したり、転職者の方にも準備いただいた上で対策を進めていきます。どうしたら転職者ご自身がより魅力的に見えるのかとか、この会社に入る意味・意義を改めて一緒に確認していきます。
選考が進む過程でも面接対策は行うのでしょうか。
場合によります。何回も実施したほうがいい場合は複数回行います。一方で転職者ご本人のなかで伝えたいことがハッキリしている場合は必要ないと思っています。
選考結果が出る前に行う企業側へのフォローも高い内定率の秘訣
粕谷:
面接前や面接後の転職者とのコミュニケーションで心がけていることはありますか?
中村さん:
面接後は準備していったことに対して正直どうでしたか?と腹を割って話すようにしています。
面接で実際感じたことや伝えられなかったことを吸い上げ、次の選考の対策をしたりするわけですね。
はい、あとは必要に応じて選考結果が出る前に企業側へのフォローもしています。例えば本当はこういうことを伝えたかったけれど別の意図で伝わってしまったかもしれない、という時にはRA担当(リクルーティングアドバイザー:求人企業の営業担当のこと)から連絡してもらいます。
他のTOPエージェントでは内定を出すか企業側が迷われている時に意思決定者に影響を及ぼすような動き方をしているところも多くあります。さきほど伺ったように転職者にまつわる補足状況を伝えたり、熱意を伝えたりとか。そういったこともされますか?
そうですね、必要に応じて先ほどお伝えしたような情報の補足をしたり、フレキシブルに対応しています。
深い技術理解で企業が求める人物像を精緻に把握
粕谷:
中村さんのサポートだからこそ実現した転職、といった案件は過去にありますか?
中村さん:
毎回全力でやっているので難しい質問ですね。素材系大手は求人ニーズが掴みづらいのですが、昭和電工の求人でかなり要件が広く具体的なターゲットが見えない求人がありました。 この技術要件だとこういうことをしたいのだろう、とイメージをし、であればこういう分野の人…とご紹介をしてドンピシャで内定、というケースはありました。
求人の技術理解が深い中村さんだからこそできるマッチングですね。中村さんはCA(キャリアアドバイザー)なのでクライアント担当は御社のRAが担当されていると思います。クライアントの情報や業界理解はどのようにインプットされていますか?
求人企業を訪問することもありますし、そこで働く方とお話をする機会も多いので現場の状況を色々とヒアリングしています。
現場に触れる機会が多いからこその情報収集ができるのですね。 最後に、このコロナ禍で求人が減ったり採用のハードルが上がったりということが転職マーケットでは起こっていますが中村さんの領域でも同じような状況でしょうか。
コロナ影響で大打撃を受けた業界では、戦略的に材料系の方を積極採用…という動きは残念ながらないため、一部採用がストップしているところも多いです。一方でキオクシアをはじめとするデバイス系の業界は全く影響を受けていないので数百人単位の採用が動いていたりと積極採用が行われています。素材メーカーも同じような状況なので全体として見た場合全く影響は出てない、と言ってもいいかもしれません。
中村さんの領域はコロナ禍の影響をあまり受けず、引き続き採用が活発に行われているのですね。貴重なお話ありがとうございました。