業界・企業に特化し、誰よりもリアルで最新の情報を持つトップヘッドハンター。エージェントファインダーで紹介する各ヘッドハンターは、採用決定率を高めるためにどのような工夫を凝らしているのか。エージェントファインダー代表取締役・粕谷暢司が、特定の業界や企業への高い内定率、リピート率を誇るヘッドハンターにその秘訣を伺いました。
今回登場いただくのは、sincereed株式会社でヘッドハンターをされている伊藤氏。
これまで大手から中小まで製造業のキャリア採用を支援してこられた方です。
現在はsincereed株式会社で大手製造業へ第二新卒から30代ハイキャリア求職者の転職支援をされている同氏。ヘッドハンターへと至った経緯や人気企業への転職支援を実現させるサポート内容について詳しく伺いました。
伊藤 順哉さん
sincereed株式会社
エージェント
新卒でオンワード樫山に入社し、店舗運営や販売員教育に従事。その後、階層別研修や組織風土改革を手がけるコンサルティング会社に転職し、80社以上の大手企業を支援。2016年に人材紹介業界に転じ、株式会社JAC Recruitment大阪支店で製造業分野(化学・機電・エネルギー・ヘルスケア)において実績を積む。2020年、株式会社フェローシップの関西支社立上げに携わり、2021年からは製造業領域のマネージャーとして新規ビジネス立上げやコンサルティングに尽力。2024年、sincereed株式会社に入社し製造業分野での事業拡大に参画。
粕谷:
伊藤さん:
新卒でオンワード樫山に総合職で入社し、名古屋配属になりました。百貨店やショッピングセンター向けのメンズ・レディースブランドの担当になり、スーパーバイザーのような役割で、商品発注や店頭での接客販売などをしていました。その後、百貨店への交渉や販売促進などを3年半ほど経験し、自社の販売員への研修の仕事に携わりました。その時に研修は面白く人の役に立つと思い、次のキャリアとして、組織開発や研修を手がける上場企業のセルムグループの中で、若手に特化したファーストキャリアに入社しました。
そこでは東京配属になり、当時新人研修ブームということもあって、東芝様、大和総研様、 富士通様、NEC様、資生堂様、味の素様など錚々たる企業を担当させていただきました。約1年半後に、当時関西マーケットを強化していく時期だったこともあり、関西で同じく研修事業を担当。そこでも川崎重工様、シスメックス様、大阪ガス様、関西電力様など大手企業の研修事業を担当させていただきました。それからマネージャーや管理職なども経験した後、自分自身の転職市場での価値を知りたいと思い、転職エージェントに相談をしました。
その転職エージェントと面談した際に、人材紹介の仕事自体に興味を持ち、転職市場の価値を知るつもりが、JACリクルートメントという転職エージェントに入社することに。それが人材紹介の仕事をはじめるきっかけになりました(笑)。
入社後は、大阪支店のケミカルチームに配属され、関西の中小の化学企業を担当。少し経つと、日米貿易摩擦でケミカル業界が大不況になり、大手企業でも前年60名採用していたところが0人まで減少するなど、厳しい環境で仕事をしました。その後はヘルスケアチームに異動し、ヘルスケア業界のキャリア採用の支援をさせていただきました。
2020年にコロナ禍になったり家庭では子供が生まれたりと生活環境の変化もあったことで、同業界ですが、転職エージェントのフェローシップの大阪拠点立ち上げに関わることになりました。入社当時はコロナ禍の影響で求人が少なくなっていましたが、元々1社目の時に担当していて、コロナ禍の影響をあまり受けていなかったインフラ系の大阪ガス様や関西電力様、クボタ様など関西エリアの製造業のキャリア採用を支援させていただきました。
また、当時社内のチームメンバーは人材紹介未経験の若手が多かったため、私自身が元々研修会社で経験してきたことを活かし、社内メンバーの研修や育成も行いました。しかし、まだ自分自身が人を育てる側ではなく、自身の力をもっと高めたいと思い、現職のsincereedに入社したという経緯です。
現在は日本全国の製造業、大手の化学メーカー・電気機械メーカーさんを中心に担当しており、職種は研究開発や生産技術、品質保証などの職種から、事業開発などを担当しています。また、工場を自動化するスマートファクトリーなど、昨今製造業もソフトウェアエンジニアやDXといったIT職種が必要になってきているので、そのような職種も担当していますね。
大手メーカーでは年齢でいうと32~33歳くらいまでが若手のレイヤーの上限で、それ以降は管理職候補となるので、採用ハードルは高くなっている印象を持っています。また、モノづくりをしている企業は現場で仕事をすることも多く、感染リスクもあったため、コロナ禍で採用できなかった時期もありました。そのため最近は第二新卒も担当していますね。
そうですね、その方の履歴書・職務経歴書から、今どのような会社で、どういう仕事をしているのか、「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」のSWOT分析や「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3C分析をした上で、仕事内容は、社風まで想像し仮説を立てます。それをしておくと求職者の方と面談をしたときに、結構話がわかっているなということで盛り上がりますね。
また、私は工場などの現地まで足を運び、実際にモノづくりが行われているところを見学に行っています。自分が行ったことがある場所だからこそ、現地のことや、現地までの時間などをお伝えすることができます。現場社員の生の声をお聞きしたり、現場の部門長が直接お話ししていたことを求職者にお伝えしたりもしているので、求職者の方に喜んでいただけるケースが多いかなと思います。また選考フェーズでは、面接の前に必ず対策をさせていただきます。
そうですね、2つのパターンがあります。
1つ目は受けるポジションによって合格可能性が変わるというパターンです。具体的には、一度大手製造業の求人ポジションに応募して書類選考でお見送りになっていた方が、後から別のポジションがオープンしたので、そちらに応募したら内定が出たケースですね。
他の大手製造企業の例でいうと、その企業では採用ポジションが300以上ありまして、受けるポジションによって書類選考や面接で落ちるケースもあれば、内定が出るケースもあります。どの求人であれば、その方の経験や志向に合うか把握しているから内定まで導くことができているのだと思います。
企業の採用状況は日々変わるので、その情報をタイムリーにキャッチして、それを求職者にお伝えする。またそのように中長期で求職者の方とコミュニケーションさせていただく関係性を作っています。
2つ目は、過去に一度選考に落ちても、経験を積めば内定が出るというパターンです。具体的には、大手の化学メーカーに以前応募して選考で落ちた方が、その企業の採用ポジションが求めている経験を積み、その間フォローし続けて2年後に内定が出たというケースです。
プレイングマネージャーとしての経験を活かし、実務に即したアドバイスとサポートを提供したいと思います。私はよく転職することを結婚のタイミングを比喩に使っていますが、時期と無理がないタイミングが重要かと考えております。転職活動は逆算思考で上手く計画立てて進めていくことで、本来望んだ形での転職、または引き続き現職で頑張るという決断ができると思います。そういったサポートも是非させていただければと思います。
変化の激しいビジネス環境において、柔軟かつ迅速な対応を心がけ、皆様との信頼関係をさらに深めてまいりたいと思います。私のバックグラウンドと、継続的な学びのアプローチで全面的にサポートさせていただければと思います。