2020.04.27

“理想の条件”に固められた転職活動は要注意! 転職がうまくいく3つの考え方

転職のゴールは、入社後も長く心地よく働け、パフォーマンスを発揮できることです。理想の条件で転職できた!と思っていても、働き始めてから「こんなはずじゃなかった」と後悔することになっては意味がありません。では、転職がうまくいく人、いかない人には、転職時の考え方、業界・企業の選び方にどんな特徴があるのでしょう。転職コンサルタントの黒田真行さんに聞きました。

 

黒田 真行(くろだ まさゆき)
ルーセントドアーズ代表、ミドル世代専門転職コンサルタント

1965年生まれ。1989年、関西大学法学部卒業後、株式会社リクルートに入社。
B-ing、とらばーゆ、フロム・エーの関西版編集長などを経て、2006年から8年間、転職サイト、リクナビNEXTの編集長を務める。
1万2000人を超える転職者・経営者・人事責任者への取材経験から、転職活動の具体的ノウハウや心理的支援、日本の中途採用市場、マッチングの構造に精通する。
2014年9月、中途採用市場の積年の課題であった「ミドル世代の適正なマッチング」を目指し、ルーセントドアーズ株式会社を設立、代表取締役に就任。
35 歳以上に特化した転職支援サービス「Career Release 40」(キャリアリリース40)を運営している。著書に、『転職に向いている人 転職してはいけない人』(日本経済新聞出版社)『採用100年史から読む 人材業界の未来シナリオ』(クロスメディア・パブリッシング)がある。

1 会社軸より「やりたいこと軸」で複数の選択肢を考える

転職活動をする中で陥りがちなのが「会社の条件」を固めてしまうことです。
「上場企業で、従業員規模は1000人以上、年収700万円以上」など、真面目な方ほど希望条件をどんどん追加させていき、転職の選択肢は狭まってしまいます。

転職を考えるにあたり、まず大切なのは「そもそもなぜ転職するのか」という理由です。希望条件と仕事の満足度が一致していないケースは非常に多く、仕事に求めるやりがい、職場環境、仕事の進め方、働き方など、自分が大事にしたい価値は何かを明確にしなければ、入社後のミスマッチにつながるでしょう。

実際に、希望条件をすべて叶え、大手企業の営業として転職した方がいました。しかし入社すると、仕事の進め方が本人の意向と180度異なり、3カ月たたずに辞めてしまいました。本人は「お客様とじっくり関係性を築く」営業スタイルにやりがいと強みを感じていたのですが、その会社は数を回して売上を上げる、効率とスピードを重視するカルチャーだったのです。「仕事を通じて何をしたいのか」をはっきりさせないまま、あるいは重要視しないまま条件だけで選んでしまうと、企業にとっても個人にとっても不幸な結果になってしまいます。
転職先選びの際は、気づかないうちに“理想の企業の条件”を列挙してはいないか、振り返ることが大切です。1つの会社に絞るのではなく「やりたいこと」を実現できる複数の企業の選択肢を持つことも、納得感のある転職活動をする上で重要です。複数の情報を比較検討する中で、自分が大事にしたいことがより明確になっていくでしょう。

2 転職を「ネガティブ条件の解消」にしない

転職活動で避けたいのは、前職あるいは現職の嫌なところを起点に、次の転職先を考えることです。文句一つない完璧な職場はありませんので、ネガティブ条件を解消するために転職をしても、また次の環境で新たなネガティブ条件にぶつかってしまいます。

以前、「ベンチャーから大企業に転職したい」という方から相談を受けたことがありました。なぜ大企業なのかを聞いていくと、「今の職場がベンチャー企業で、社長がトップダウンでワンマンなところが合わない」といいます。現職の環境への不満からスタートして条件を固めているため、「ベンチャー企業=ワンマン社長」という思い込みが強くなっていました。「だから大企業に行きたい」と論理が飛躍しているんです
大企業でも、創業者のワンマンなスタイルを引き継いだトップダウン型の組織はたくさんあります。そもそもワンマンであったとしても、トップの意向に納得感があれば受け入れられるとも考えられます。そんな話をしながら、ネガティブ条件の刷り込みを紐解いていきました。
条件に盲目的に縛られているとき、客観的なアドバイスをしてくれる第三者の存在は重要です。あらゆる転職事例に触れてきたエージェントと、「その希望条件はどこからきたのか」「本当に必要なのか」という棚卸しをしていけるといいでしょう。

3 何が評価につながるのが、入社後のミッションが明確である

長く働きやすい職場選びのために選考段階で明確にしておきたいのは、求められる具体的なミッションです。自分のどんな経験やスキルが評価されているのか、入社後に何をどこまでやれば評価されるのか、期待される業務内容と仕事の進め方を企業側と共有しておくことが大切です。
ミッションが具体化されていないまま入社すると、「聞いていた話と違う」というミスマッチにつながりやすくなります。「マネジメント全般を任せる」「期待している」などと、あいまいな表現で評価されても、どういうポイントで頑張ればいいのかがわからなければ、企業側の期待値とズレが生じます。期待値が高ければ高いほど、その期待に沿えなかった際に低評価につながる可能性が大きくなります。
ベンチャー企業などは組織変化が激しく、入社後に状況が変わっている…という事態も起こりえるでしょう。それでも現時点で、自分の何が評価され、何を期待されているのか、選考プロセスで面接官の方と丁寧に確認していきましょう。

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