業界・企業に特化し、誰よりもリアルで最新の情報を持つトップヘッドハンター。エージェントファインダーで紹介する各ヘッドハンターは、採用決定率を高めるためにどのような工夫を凝らしているのか。エージェントファインダー代表取締役・粕谷暢司が、特定の業界や企業への高い内定率、リピート率を誇るヘッドハンターにその秘訣を伺いました。
山口 華代さん
sincereed株式会社
エージェント
大学卒業後、新卒で東京消防庁へ入庁。救急隊員として人命救助や救急現場を経験。その後、人材業界へとキャリアチェンジ。士業・管理部門特化型の両面型エージェントとして20代~50代まで幅広く支援。業界未経験からのキャリアチェンジ実績多数あり。前職では入社後1か月で歴代最速初成約、月間MVP、新人賞など多くの賞を受賞。2025年1月よりsincereed株式会社へジョイン。
粕谷:
山口さん:
新卒で東京消防庁に入り、今とは全く違うキャリアを歩んでいました。「人助けがしたい」という思いで、消防官を目指す学生が集まる大学・学部に進学し、救急救命士の資格を取得。入庁後は救急隊員として人命救助の現場を数多く経験しました。
入庁2年目にコロナ禍に見舞われたことが、キャリアや働き方を考える一つのきっかけになりました。コロナの大流行で、救急現場は文字通り24時間稼働状態になり、隊員の多くが、一睡もできないまま働いていました。目の前の患者さんを救うという仕事のやりがいは大きかったのですが、さすがに終わりの見えない状況に心身ともに疲弊してしまって。「この働き方がいつまで続くんだろう」と思うようになりました。
また、救急車は、助けを求められてからしか助けに行けません。マイナスをゼロにする人助けは社会にとって重要ですが、「人助け」にはもっといろんな形があるのではないか、一度、民間企業を含めてほかのいろんな「人助け」の仕事の選択肢を見てみてはどうかと考え始めました。
右も左もわからないままエージェントに相談する中で、エージェントの担当者が私にとって“身近なキャリアの相談相手”になっていきました。そこで、私も誰かをこんな風に助ける仕事に就けたらいいなと思うように…。救急現場で初対面の方とコミュニケーションをとることは得意でしたし好きだったので、人材業界は向いているかもしれないと考えました。
sincereedの前に、小さな人材ベンチャーで士業や管理部門特化型の両面型エージェントを経験しました。ただ、そこは20代が中心の若い組織で、民間企業に来て1年しか経っていない私が、業績面でも年齢的にも“教える立場の人”になっていたんです。もっと私自身が周りから学べる環境に身を置きたいと考え、エージェント歴の長い経験者が集まるsincereedへの転職を決めました。当社は、ハイクラス層の大手企業への紹介実績が多く、幅広い業界や職種の方の支援ができる点も魅力でした。
SaaSやIT企業、メーカー、広告代理店、コンサルファームにいる方など、20代後半から30代前半までの求職者を中心に、幅広くご支援させていただいています。
当社には、大手企業への転職を希望して相談に来る求職者の方が比較的多くいらっしゃいます。ただ、お話を聞いていると、縦割りで業務が細分化されている大きな組織よりベンチャー寄りのほうが、やりたいこととマッチするのでは…と思うケースも少なくありません。丁寧にコミュニケーションを取りながら、その方の“WILL(何を叶えたいか)”を最優先にサポートしていくことを心がけています。
一つは、広告代理店から大手飲料メーカーのマーケティング部門への転職を支援したケースです。その方は28歳の女性で、地元の出版社から広告代理店に移り、Web広告のデータ分析を手掛けていました。業務量の多さに疲れてしまったことに加え、代理店という立場ではなく事業会社のマーケティング部門で、マーケティング業務の“上流”を経験したいと考え、ご相談に来てくださいました。
人気メーカーの難易度の高いポジションだったので、準備にはしっかり時間をかけました。企業が求める人材像や、大切にしているカルチャーを共有し、過去に出た質問項目リストをもとに、その方の強みをどうアピールすべきか、言語化を一緒に進めていきました。その企業は、CSV経営(社会課題の解決と経済的利益を両立させる経営戦略)を大事にしており、その対策にも力を入れました。結果として、求めていたポジションに就くことができ、年収も570万円から760万円へ大幅増となりました。
大手安定志向が強かった求職者をメガベンチャーにご支援したケースもあります。その方は、人材紹介会社で法人営業(リクルーティングアドバイザー)をご経験されていた20代後半の方。IT業界への支援実績の豊富さから、大手IT企業やITに強いメーカーへの転職を希望されていました。
話を聞いていくと、大手志向の理由は「安定していて安心だから」というものでした。そこで、“安定”の定義を一緒に考えていき、組織規模が大きくなくても安定的に業績を上げている会社を複数提案しながら、選択肢を広げていきました。IT企業やメーカーの場合は業界未経験となってしまいますが、同じ人材業界であれば「これまでの経験を生かして安定的に成果を上げられる環境」になります。それも一つの道ではないか、といった話もしていきました。結果としてメガベンチャーの人材会社への転職をご支援し、年収アップも実現しました。
初回面談から大事にしているのは、「本音で話してもらえるような関係構築」を目指すことです。求職者の“本当の思い”を知ることができなければ、本質的な支援はできないと思うんです。求人内容や企業情報を伝えるのは、お互いの理解を深めた初回面談のあとでいいのかな、と考えています。
求職者のこれまでの経歴を聞く中で、私との共通点があればときに脱線しつつ話すこともあります。「このコンサルタントになら、正直に話しても受け止めてくれそう」と思っていただけるよう、私自身も自己開示をするよう意識しています。
書類選考に通過した段階で、面接で必ず聞かれる質問内容や気を付けるべきこと、企業の情報や想定質問項目をお送りしています。過去に当社経由で同じポジションで選考に進んだ方から、聞かれた質問内容をヒアリングしており、社内にデータベースが蓄積されているんです。
その上で、想定質問への回答をテキスト上で添削する場合もありますし、オンライン面談で模擬面接をする場合もあります。何度も模擬面接の時間を予約する方もいれば、一度もしない方もいて人それぞれ。そこは、求職者の忙しさや優先度に合わせて柔軟に対応しています。
当社内で、求人企業情報を随時蓄積させていくデータベースがあり、各コンサルタントが企業との定例ミーティングなどで得たタイムリーな情報はすべて、全社で共有されています。一人だけでは得られない情報量の豊富さは、当社の強みだと感じています。
私自身は、書類選考や一次面接のタイミングで、どんなポイントで評価されたのかを企業側に聞くようにしており、求職者の方にフィードバックするようにしています。
内定が出たあとにはオファー面談を設定し、それでも迷いや不安な点があるのであれば、追加で企業様に面談時間を作ってもらうようにお願いすることもあります。
転職活動は、現職に残る、という選択肢を含めて、現時点でのキャリアの意思決定をするプロセスだと思っています。やりたいことは定まっていないけれど、今の環境になんとなくもやもやする…そんな風に漠然とした迷いや悩みを抱えている人に、ぜひ気軽にご相談に来ていただきたいです。
一人で考えていても、新しい視点はなかなか入ってきません。エージェントという第三者をうまく利用することで、気づきが生まれることもあるのでは。「薄々分かってはいたけれど、他者から言われると『やっぱりそうだよね』と納得できる」など、もやもやの理由がクリアになることも多いと思います。私自身も、ご支援する求職者の皆さんと近い30歳という年齢なので、友達感覚で話をしたい、というフランクなお問い合わせもお待ちしています。